相続と贈与 第1部
何も準備しなかった場合、あなたの財産はどうなるのか 遺言書がないからといって、遺産の扱いが決まらないわけではありません。誰が、どの割合で相続するのかは法律によって定められています。その内容が自分の希望と完全に一致している場合もあります。しかし、法定相続の仕組みを確認したことがなければ、本当にそうなのかは分かりません。
YOUTH & POLITICS
8/26/20261 分読む
そのため、相続対策を考える際の有効な第一歩は、シンプルなシミュレーションです。
「もし自分が今日亡くなったら、何が起こるのか」
次の3つの質問が判断の手がかりになります。
法律上、自分のものは何か。
今日亡くなった場合、誰がそれを相続するのか。
その結果は自分の希望と一致しているか。
この3つに答えることができれば、そもそも何らかの対策が必要なのかどうかが見えてくることが多いでしょう。
まず、本当に自分のものが何かを確認する
人が亡くなると、その人の財産は原則として一体として一人または複数の相続人に承継されます。銀行口座、証券口座、不動産、その他の財産が含まれます。また、遺産に関する債務も相続人に引き継がれることがあります。
そのため、最初に確認すべきなのは所有関係です。特に夫婦の場合、経済生活を共にしていることと、法律上共同所有していることは混同されやすいものです。
ドイツの法定財産制である「付加利益共同制(Zugewinngemeinschaft)」では、夫婦それぞれの財産は原則として分離されたままです。したがって、結婚しているという理由だけで住宅が当然に夫婦双方の所有になるわけではありません。
相続割合を考える前に、不動産、証券口座、銀行口座などが法律上誰の所有物なのかを明確にしておく必要があります。
法律にはすでに相続の仕組みがある
遺言書も相続契約もない場合、法定相続が適用されます。
子どもは第一順位の法定相続人です。子どもが複数いる場合、原則として均等に相続します。
ある子どもが存命である場合、その家系内では、その子どもの子、つまり被相続人の孫は原則として直ちには法定相続人となりません。その子どもがすでに亡くなっている場合には、その子孫が代わって相続することがあります。
配偶者については、さらに別の規定があります。配偶者の相続割合は、他にどの親族が相続するのか、またどの夫婦財産制が適用されているのかなどによって異なります。
典型的なケースは比較的簡単に計算できます。
結婚している人が配偶者と子どもを残して亡くなり、夫婦が法定財産制である付加利益共同制の下で生活していた場合、一般的には配偶者が遺産の2分の1を取得します。
残りの2分の1を子どもたちが分けます。子どもが2人であれば、それぞれが4分の1を相続します。
ただし、この例はあくまで法定上の基本的なケースです。異なる夫婦財産制や異なる家族構成では、結果も変わる可能性があります。
子どものいない夫婦も、法律上の状況を確認する必要があります。生存配偶者がどのケースでも自動的に唯一の法定相続人になるわけではありません。
家族構成によっては、他の親族が共同相続人となる場合があります。
個人的な親密さだけでは法定相続権は生まれない
個人的な関係と法律上の関係の違いは、未婚のカップルの場合に特に明確になります。
愛情や親しさは、法的な相続権を生み出す要素ではありません。反対に、嫌悪感も法的な基準にはなりません。
未婚のパートナーには、単にパートナー関係にあるという理由だけでは法定相続権はありません。
遺言書も相続契約もなければ、原則としてパートナーの遺産から何も受け取ることはできません。
これは、二人が共同で居住していた住宅についても問題になることがあります。
例えば、二人が不動産をそれぞれ2分の1ずつ所有している場合、生存しているパートナーは自分の持分をそのまま保有します。
しかし、亡くなったパートナーの持分はその人の遺産となり、その相続人に承継されます。
未婚で共同生活をしており、パートナーの生活を保障したいのであれば、法定相続にそのまま任せるべきではありません。
ステップファミリーについても、正確な確認が重要です。
継子には、原則として継父母に対する法定相続権はありません。ただし、養子縁組などによって法律上の親子関係が成立している場合には状況が変わります。
特に未婚のカップルやステップファミリーでは、公証人に相談することが有益な場合が多くあります。
婚姻状況、所有関係、希望する財産分配のわずかな違いでも、大きな影響を生む可能性があります。
相続割合は特定の財産そのものではない
例えば、遺産の中に住宅、証券口座、銀行預金があるとします。
被相続人が複数の相続人を残した場合、法律がこれらの財産を自動的に個別配分するわけではありません。
相続人はまず共同相続人となり、遺産全体を共同で所有します。これは債務についても同様です。
したがって、配偶者が自動的に住宅を取得し、子どもたちが証券口座を取得するわけではありません。
また、相続割合が4分の1だからといって、ある子どもが住宅の特定の4分の1部分や、特定の銀行口座を単独で所有するという意味でもありません。
具体的な希望がある場合、この点が実務上重要になります。
パートナーが住宅に住み続けられるようにしたい。
一人の子どもに不動産を承継させたい。
証券ポートフォリオを分割せずに維持したい。
こうした希望は、法定相続割合だけでは自動的に実現しません。
特定の不動産を特定の人に承継させたい場合や、重要な財産について複数の相続人が共同で意思決定しなければならない状況を避けたい場合には、専門家による法的な確認を受けることが望ましいでしょう。
特に不動産があり、相続人が複数いる場合には、早い段階で公証人に相談する合理的な理由があります。
法定相続が希望に完全に合っている場合もある
相続対策を行うことが、必ずしも遺言書を書くことを意味するわけではありません。
法定相続による財産分配を理解したうえで、その結果に満足しているのであれば、個別の取り決めのほうが複雑に見えるという理由だけで変更する必要はありません。
問題が生じるのは、個人的な希望と法律上の基本的な結果が一致しない場合です。
例えば、パートナーの生活保障、異なる関係から生まれた子ども、不動産、ある特定の人物や財産を特別に考慮したい場合などです。
だからこそ、設計する前にまず確認することが重要です。
遺言書は法定相続の結果を変える
ドイツ民法典では、遺言によって一人または複数の相続人を自ら指定することが認められています。
自筆証書遺言には明確な形式要件があります。
全文を自筆で書き、署名しなければなりません。印刷された文書に手書きで署名しただけでは、自筆証書遺言の形式要件を満たしません。
場所と日付も記載することが望まれます。
これらが欠けていたとしても、それだけで遺言書が自動的に無効になるわけではありません。
しかし、例えば複数の遺言が存在し、どれがより新しいものなのかを後に判断しなければならない場合などには重要になることがあります。
状況が単純であれば、自筆証書遺言で十分な場合もあります。
しかし状況が複雑になるほど、一見分かりやすい表現であっても、法律上は意図とは異なる結果をもたらすリスクが高まります。
特に公証人への相談が有効な場合
すべての相続について公証人への相談が必要なわけではありません。
しかし、自分で作成した一般的なひな型だけに頼るべきではないケースがあります。
特に、不動産、多額の財産、複数の相続人、ステップファミリー、未婚のカップル、予定している相続廃除、複雑な遺贈、遺言執行者を指定したい場合、国際的な要素がある場合などです。
特定の人物に特定の不動産を取得させ、他の相続人には別の方法で調整を行いたい場合も、法律上の影響を事前に確認することが望ましいでしょう。
公証人による作成には、もう一つ実務上の利点があります。
形式上のミスや曖昧な表現が生じるリスクを減らすことができます。
また、公正証書による遺言がある場合、相続開始後、状況によっては別途相続証明書を取得する必要がなくなることもあります。
すでに争いがある場合、将来的な争いが予想される場合、遺留分に関する請求が想定される場合、家族関係が複雑な場合などには、相続法を専門とする弁護士への追加相談も有効です。
遺言書は必要なときに見つからなければならない
有効な遺言書を作成していても、死亡後に誰もその存在を知らなければ十分ではありません。
自宅で保管している自筆証書遺言が、自動的にドイツの中央遺言登録簿に登録されるわけではありません。
自筆証書遺言を区裁判所の特別な公的保管制度に預けた場合には登録されます。
相続に関係する公証文書については、職権で登録簿に登録されます。
この登録簿は、単に遺言書の内容を保存する制度ではありません。
死亡時に、相続に関係する文書が存在すること、そしてその文書がどこに保管されているのかを確認できるようにすることが目的です。
したがって、相続対策は署名をした時点で終わるわけではありません。
必要なときに、その取り決めが確実に発見されることも重要です。
すでに死亡が発生している場合
相続人になると、受け取るのは財産だけではありません。
遺産には債務やその他の義務が含まれる場合もあります。
遺産が債務超過である可能性がある場合には、どのような法的選択肢があるのかを速やかに確認する必要があります。
相続放棄には原則として期限があります。
通常の相続放棄期間は6週間です。一定の国外関連ケースでは、より長い期間が適用されます。
遺産の状況が不透明な場合や債務超過の可能性がある場合には、早い段階で相続法に関する専門的な助言を求めるべきです。
必ず対応を検討すべき場合
遅くとも、法定相続の結果が自分の実際の希望と一致しない場合には、具体的な対応を検討する必要があります。
特に次のような場合です。
未婚のパートナーと暮らしている場合、ステップファミリーである場合、不動産を所有している場合、複数の人が相続人になる場合、特定の人を特に保護したい場合、特定の財産を意図的に配分したい場合、または家族内で利害が異なることがすでに分かっている場合です。
古い遺言書についても、結婚、離婚、子どもの誕生、親族の死亡、財産状況の大きな変化などがあった場合には、改めて確認することが望ましいでしょう。
家族関係や財産構成が複雑になるほど、ひな型や自己流の文言だけに頼るべきではありません。
こうした場合、公証人に相談することは、不要な形式主義ではありません。
自分が望んでいることが、法律上本当にそのとおり実現するのかを確認するためのものです。
この記事は、ドイツの相続法に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の法律相談または税務相談に代わるものではありません。
法的情報の基準日:2026年8月25日
出典
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1922条「包括承継」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1922.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1967条「相続人の責任・遺産債務」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1967.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1924条「第一順位の法定相続人」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1924.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1925条「第二順位の法定相続人」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1925.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1931条「配偶者の法定相続権」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1931.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1371条「死亡時における付加利益の清算」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1371.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1363条「付加利益共同制」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__1363.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第2032条「共同相続」
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ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第2033条「共同相続人の処分権」
https://www.gesetze-im-internet.de/bgb/__2033.html
ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1937条「遺言による相続人の指定」
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ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第2247条「自筆証書遺言」
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ドイツ連邦司法省・連邦司法庁、2026年、ドイツ民法典 第1944条「相続放棄の期間」
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ドイツ連邦司法省、2026年、「相続法」
https://www.bmj.de/DE/themen/gesellschaft_familie/erbrecht/erbrecht_node.html
ドイツ連邦公証人会、発行年不明、「共同生活・パートナー関係」
https://www.notar.de/themen/familie/lebensgemeinschaft
ドイツ連邦公証人会、発行年不明、「相続対策とステップファミリー」
https://www.notar.de/aktuelles/details/nachlassplanung-und-patchwork
ドイツ連邦公証人会、2026年、「相続を設計する―中央遺言登録簿を活用した安全な相続」
https://www.testamentsregister.de/fileadmin/user_upload_ztr/dokumente/BNotK_ZTR_Faltblatt_Web.pdf

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